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IT業界の感想

社員全員が裁量労働制のSIerはもれなくブラック

裁量労働制って何?

労働者の実際の労働時間によらず、あらかじめ決められた賃金が支払われる労働形態のこと。例えば、「労働者の月給は基本給に加えみなし残業時間40時間分を付与したものにする」となっていた場合、労働者は100時間働いても200時間働いてももらえる給与は同額となる。 詳しくは下記リンクを参考に

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%81%E9%87%8F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%88%B6 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%97%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%99%82%E9%96%93%E5%88%B6

企業が裁量労働制を採用する建前

  • 個人の力量次第で自由な働き方を可能とする。優秀な人は早く帰れる。
  • 残業代目当てでカラ残業する人を減らせる。全体の残業時間短縮につながる。

裁量労働制の現実

  • 優秀な人しかこなせない仕事があるので優秀な人は帰れない。
  • 残業してるのに残業代でなくてやる気が落ちる。

SIerでは個人の裁量が仕事量を左右しない

経営者が「一人一人の生産性を向上させて定時どおり帰れるようにしましょう」と言うことがある。はっきり言ってそれは大嘘だ信じてはいけない。残業が発生するのは、時間内に処理できる量を越えた仕事が割り当てられているからだ。新人でも仕事量が少なければ定時内に帰れるし、たとえベテランでも大量の仕事があれば定時内には帰れない。残業を個人の能力による問題と言うのは、マネジメント能力のないことの責任転嫁に過ぎない。

事量を決定するような裁量は一部の社員にしか存在しない。なぜならSIerは受注開発で、マネージャーと開発者が全体の作業量を決定できず、仕事量が営業の取ってきた仕事量と直結する。残業が発生する最大の原因は営業が自社のリソースを上回る量の仕事を取ってきていることである。開発者が自分の作業速度に合わせて仕事量を調整しようとしても営業が仕事を取ってきた段階で納期、作業量が決定してしまっており、裁量の発揮しようがないのだ。

ブラック企業の方針

ブラック企業裁量労働制を採用する理由は簡単である。残業代を節約できるからだ。平均残業時間が100時間ほどあるような企業でも、裁量労働制みなし残業40時間とすれば月にして60時間もの残業代を節約できる。 もっとも、みなし残業時間を超えた分は払うのが法律で定められているのだが、ブラック企業では当然のように支払わられないのはなんでなんでしょうね。

問題点は残業代節約だけにとどまらない。プロジェクトの計画が残業してもコストが0なことを前提に進むのだ。例えばちょっとプロジェクトが遅れたとしよう。埋め合わせに2時間残業したとすれば、通常のプロジェクトなら2時間分のコストが発生する。そして、このようなマネジメントの崩壊により、裁量労働制を導入する前よりも労働時間が増える場合があるのだ。

全員が裁量労働制というのもおかしな点である。まっとうな会社なら下っ端に裁量労働制を適用しているわけがない。裁量労働制がふさわしいのはマネージャーやマーケティング担当といった自分で自分の仕事量を調整できるものだけだ。  

どのような裁量労働制ならよいのか?

一定の成果を出せばそれ以上は仕事をしなくてよいという権限が開発者に必要である。しかしブラック企業の現状は成果を出してもそれをマネージャーは把握できずに、一定の時間になるまで働かせようとする。これはマネージャーが部下の成果を把握する技能が低いことが原因である。成果を把握できないで作業時間しか見れないというのはお粗末すぎやしないだろうか。

最後に

求人欄に裁量労働制と書いてあるところには気をつけよう。