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1995年からの名目GDP成長率が低い日本はオワコンなのか

Twitterを見てると「1995年の名目GDPを100としたときに日本以外の国は伸びてるのに日本だけ減ってる!」という意見があった。その意見のせいで日本人は昔に比べて成長していないんだという悲観的な印象を受けた人が一定数いたようである。日本愛好家として「日本オワコン!」という意見は見過ごせないので成長率以外の数字を見ていく。

統計

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https://www.google.com/publicdata

グーグルのパブリックデータ、世界開発指標から一人あたりの名目GDPを引っ張って来たのが上の図である。1995年の日本のGDPは他の国と比較して突出して高いことがわかる。「昔の日本はすごかったんだ!」と思う前にちょっと待ってほしい。まず前提条件として名目GDPというのはドルベースで算出される。そのため円高ドル安であると名目GDPは実質の経済規模より増えたように見える。そして1995年といえば1ドル79円の超円高時代、それが反映されているためグラフでは1995年の日本が突出しているのである。

このことを踏まえると「1995年の名目GDPと100としたとき~」という意見は、日本が衰退しているという主張を劇的に見せたいだけの恣意的な意見であると言わざるを得ない。名目GDPを用いて日本を主体とするデータ比較を行うなら1995年を基準とするべきでないし、1995年からの変化が知りたいだけであれば実質GDPの値を使うべきだろう。

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同様に一人あたりの実質GDP(2000年基準)を引っ張ってきたのが上の図である。ご覧の通り1995年の値に比べて現在の値は至って普通に上昇している。「1995年から減ってる!」という認識は何だったのだろうか。参考までに述べると日本の1995年の値は40,368ドル、2017年の値は48556となっている。

また、他国と比較して成長率が低いということもグラフからは読み取れない。本当に成長率がオワコンになっていればとうの昔にフランスやイタリアに抜かれていないとおかしいはずである。

そもそも成長率○○位だからオワコンというのもおかしな話だ。アメリカは日本より成長率が高いがそれでも2017年度の実質GDP成長率は191カ国中127位だ(日本は138位)。成長率が低いから終わりなのであれば100位以内に入れないアメリカも終わりということになってしまう。

まとめ

  • 1995年は超円高なので名目GDPの値が現在の値と比べても高く見える。現在のGDPと比較したいのであれば実質GDPの値を用いるべきである。